月曜日, 3月 30, 2009

ドルに変わる基軸通貨の登場?

 前回のワシントンでの金融サミット(G20)で、仏サルコジ大統領が「ドルに変わる基軸通貨の創設を」と訴え、IMF(国際通貨基金)に対しても一席を投じる発言をしています。今回、中国の周小川総裁がIMFに対して新しい基軸通貨の提案を行っています。それが「スーパーソブリン準備通貨」です。
 準備通貨とは、各国の金融当局が外貨準備として保有している通貨のことです。外国との貿易における調整や、為替介入などによく用いられます。かつてジョージ・ソロスがジム・ロジャースと設立したクォンタム・ファンドで、ポンド暴落を仕掛けたときも、イギリス中央銀行に潤沢な外貨準備高があれば、ポンド暴落は防げたのではと言われています。外貨準備はドルやユーロの通貨が多く、2006年時点でドル65.7%、ユーロ25.2%、ポンド4.2%、円3.2%、その他1.7%となっています。日本の外貨準備通貨はほぼドルに限定されていて約1兆円あります。
 一方、IMFには「SDR」というものがあります。これは特別排出権という、IMF加盟国がもつ自由に利用できる通貨に対する潜在的請求権とでも言うべきもので、いざというときに通貨を請求する権利です。中国は、このSDRの活用範囲を広げて、ドルに変わる新しい基軸通貨を創設しようと提案しているのです。
 「SDR」は外貨の融通を受ける権利ですから、ドルのような通貨ではありません。ドルやユーロなどのバスケットで構成されていて、構成比率は、ドル44%、ユーロ34%、円とポンド11%です。このバスケットに金も入れようという案もあります。
 今はアメリカの信用だけでドルが支えられている、まさにプリンティングマネー、ペーパーマネーです。IMFの「SDR」が後ろ盾になれば、ドルへの安心感も生まれ、大量の米国債発行においてもドル暴落を防ぐことができます。今回のロンドンサミットで、ドルに変わる基軸通貨の議案がでるかどうかはわかりません。議論されたとしても表面では報道されないでしょう。しかし、経済状況が困窮している時に基軸通貨の変更という大事業がなされるというものでしょう。果たして、長きにわたったドルの世界は終わるのでしょうか。

木曜日, 3月 26, 2009

バッドバンク構想は世界を救うか

 バッドバンクとは、経営が悪化した金融機関から不良資産を買い取り、管理、処分する機関のことです。金融機関が含み損を抱える証券化商品などを保有したままだと、一層の価格下落で損失が膨らむ恐れがあるので、完全に切り離せば、損失拡大は食い止められ、財務の健全性確保の第一歩を踏み出せることになるというのが、バッドバンク設立の目的です。
 銀行においては、自己資本比率8%を維持しないと、世界各国で営業できないという厳しいルールがあります。この証券化商品が、もう市場では買い手がいなく、いったいいくらの値段になるのかが予想できない状況で、その証券化商品を持っているだけで、銀行の自己資本比率維持は難しい状況にあります。自己資本比率維持に躍起になっていると、肝心の企業等への貸し付け、本来の金融の役目が果たせないと言うことになります。ますます持って世界経済は立ちゆかなくなります。
 そこで、政府が主導して、この証券化商品を銀行の会計から切り放すシステムを無理矢理作るのがバッドバンク構想です。しかし、銀行などの金融機関が、自分のもうけのために勝手に作った証券化商品を、さんざん儲けた商品がダメになったからというって、政府に、しかも税金を使って金融機関を助けるというのは納得いかないという意見もあります。国民としては当然の感情です。
 アメリカ政府として、全額公的資金でバッドバンクを作る方向だったのが、議会の承認を得られず、民間の活力も得るという方向転換になったのです。みんなで助け合って、とにかく今の危機を脱しようというものです。そんな中で、AIGの幹部の高額ボーナス問題です。これは、公的資金投入の金融機関への政府の監視が甘いとの指摘があり、政府にしてみればなんてことをしてくれるんだという感じでしょうか。金融安定化政策や景気対策は、公的資金投入といっていますがすべて税金です。名だたる金融危機案は国営となり、アル意味で社会主義国になったようです。そんな中でのAIG問題は、あり得ない許せない問題だということは、税金を支払っている方にすれば当然のことです。
 アメリカでは、1980年代後半、貯蓄貸付組合(S&L)の破綻(はたん)急増に伴い設立された整理信託公社(RTC)が代表例で、日本では、銀行の不良債権を買い取る整理回収機構が相当します。
 ヨーロッパでも検討されているバッドバンク構想は、金融機関を救うには過去の例からも非常に効果があると思われます。公的資金が動向というのはマーケットには関係なく、マーケットはとにかく金融が正常にも戻ってくれればよいのです。そこが、感情のある人間とは異なるところですが、良い金でも悪い金でも、マーケット健全化に使われればマーケットは好感します。バッドバンク構想が立ちゆかなければマーケットは下落し、将来展望が描けるようであればマーケットは上昇します。それだけ金融機関の復活がマーケットにとっては鍵になります。
 金融を救えば、マーケットは健全化し、経済は立ち直るという構造です。

月曜日, 3月 23, 2009

AIG問題がオバマ大統領の支持率を下げた

 政府の資金援助を受けているAIGの幹部社員に高額のボーナスを支払ったことに対し、政府の管理が機能していないと指摘され、オバマ政権は避難を受けています。なにせ、公的資金はイコール税金ですからね。当然国民は怒りますよね。
 自動車業界ビッグ3が、政府支援を受けるための公聴会に、自家用ジェットで表れたと言うことで大ひんしゅくを受けたことがありました。アメリカという国を象徴しているような気がします。
 今回の政府担当はガイトナー財務長官です。オバマ大統領は、すぐさま「自分の責任」としてガイトナー財務長官をかばう発言をしました。
 アメリカという国のおもしろいところは、この後すぐに議会で、公的支援で破綻を回避したアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が支払った高額賞与などに90%の税金をかける法案を成立させています。
 AIGが経営幹部に払っていた賞与総額は当初明らかにされていた1億6,500万ドルより多い2億1,800万ドルであったそうです。少なくとも100万ドルが73人に支給され、5人が400万ドル以上だったと報じられています。AIGは1,800億ドル以上の公的資金を受けた後に賞与を支給したとして非難が集中していました。
 高額賞与の扱いは「緊急課税による国庫返還」を軸に進む見通しですが、ただ新たな課税リスクが浮上したことで、公的資金注入など金融安定化策を民間金融機関が回避する懸念も強まっているといわれています。
 このAIGの問題で、オバマ政権の支持率は下降傾向に歯止めがかからない状態だ。ラスムセン社調査では1月の政権発足直後の65%から19日現在56%まで下落、不支持率は13ポイント増の43%に達しました。オバマ政権の経済政策への懸念も広がります。同社が19日発表した調査では、50%が政府の対策を「やり過ぎ」と回答、「不十分」の40%を上回りました。AIG問題など、巨額の財政支出や企業救済への反発などが背景にあるとみられます。

カーシェアリングは普及するのか

 カーシェアリングとは、1台の車を数人の利用者で使用するシステムで、車が必要な時だけ短時間使用するもので、利用者にとっては車への費用が抑えられます。新しい都市型の交通システムとしてカーシェアリングが定着することで、「所有」から「利用」へと車の使い方の転換が進みそうです。しかも使用する時間の多様性からレンタルからシェアーへと変わってくるのでしょう。
 この車を複数の会員が共同利用する乗り出す「カーシェアリング事業」に 大手企業が相次ぎ参入するようです。駐車場最大手のパーク24はレンタカー大手のマツダレンタカー(広島市)を今月中にも買収、全国約8600カ所に持つ駐車場を活用して同事業に参入すると報じられています。三井物産やオリックスなども同事業を大幅に拡充、5年後には国内で稼働するカーシェア用の車両が1万台規模に膨らむ見通しです。レンタカーが法人や観光客を主な対象にしているのに対し、カーシェアはより安く利用でき、貸し出し拠点が住宅地にも分散するなど利便性が高く、将来は電車やバスなどに次ぐ日常的な交通システムに育つとの見方もあり、今後も新規参入が相次ぎそうです。
 ただ、基幹産業である自動車業界とは「カーシェアリング事業」とは微妙な関係です。車が売れないことは、雇用やマーケットに対する影響など、いろんな問題も残るようです。

金曜日, 3月 20, 2009

世界的に国債買い入れ政策

 米連邦準備制度理事会(FRB)は、連邦公開市場委員会(FOMC)で、今後半年間で長期国債を最大3,000億ドル(約29兆円)買い取る方針を決めたと発表しなした。また、住宅ローン担保証券(MBS)などの買い取り規模も7,500億ドル拡大し、最大1兆2,500億ドルとすることを決定しました。政府機関債の買い取り枠も従来の2倍の最大2,000億ドルに引き上げ、市場への資金供給量を増やします。
金融・信用市場の機能回復に全力を挙げる方針を表明しました。中央銀行による国債買い取りは日本と英国がすでに実施しており、世界的な量的緩和の流れが一段と強まることになります。同時に生命で、デフレへの警戒感を表明しています。
 政府が発行する国債を中央銀行が買い取りと言うことは、利払いなどから考えて、追加の国債発行や買い取り分のドルが市場に供給されることになり、インフレ懸念が出てきますが、ドルの暴落も誘発します。ドルはこの発表後、大きく下落しています。
 景気対策と金融政策、ドルの問題など、かなり舵取りは繊細なものになっていますが、思い切った制作をとらないとどうしようもない状況ではあります。国債へのお金の流れが動くことで、長期金利が下がってきていて、住宅ローンなどの借り入れには好環境となり、市中へのお金の供給面でもよいとされています。
 日銀は金融政策決定会合で長期国債の買い取り額を月1兆4,000億円から1兆8,000億円に増やすことを決めています。4,000億円の増額は過去最大で、金融市場の緊張緩和に向けて積極的に資金供給する姿勢を一段と鮮明にしたことになります。政府の追加経済対策に伴って国債増発による長期金利上昇が懸念される中、日銀による長期国債買い取りの大幅増額は金利抑制効果も見込まれることから、日銀が政府の側面支援に回った一面もあるようです。

水曜日, 3月 18, 2009

米住宅着工は市場予想より増加

 米商務省が17日発表した2月の住宅着工は年換算で前月比22.2%多い58万3,000戸となり、8カ月ぶりの増加に転じたと報じています。市場関係者の大方の予想は過去最低水準の約45万戸でしたが、予想外に集合住宅の着工が増え、全体の伸び率も1990年1月以来最高となりました。
 世界記入不安の引き金となった住宅に関して、住宅着工が増えていることはぷらすのようで、1月の各大手金融機関が黒字だったというのも住宅市場の影響のようです。政府主導で、サブプライムローンの借り換え、借りたときの3年後に大幅に借入金利が上がり、そのため住宅ローンが返せなくなるという人たちの借り換えが進んでいるのも好材料のようです。
 先行きを示す着工許可も3.0%増の54万7,000戸だったそうですが、前年同月比では着工は47.3%減、許可も44.2%減と激しく落ち込んではいます。長引く不況で主な住宅指標は軒並み悪化が続いており、1月の新築、中古住宅の販売もそれぞれ前月比10.2%、5.3%減少しているそうです。

春闘が大変

 2009年春闘は18日、自動車・電機の主要企業が労組の要求に一斉回答する「集中回答日」を迎えます。8年ぶりのベースアップ要求を掲げた連合の方針を踏まえ、労組側は前年を大幅に上回る賃上げを求めたが、経営側は業績悪化を理由に軒並み「ベアゼロ」回答する見通しと報じられています。電機業界各社によって対応はまちまちですが、全体的には厳しいようです。
 シャープは景気の急減速に伴う販売単価の下落と円高の直撃で主力の液晶テレビが不振となり、2009年3月期の連結業績が上場以来、初めての最終赤字(1,000億円)に陥る見通しから、定期昇給凍結のほか、一時金も年間5カ月の要求に対して4.1カ月を示した。一時凍結した定期昇給の実施時期は、今後、労使で協議を続けるとのことです。東芝も、定期昇給実施を半年程度、先送りする方針を固め、この2社は事実上の賃下げとなります。
 また、パナソニックと三洋電機も、定期昇給実施を先送りする方向で最終調整している。三洋電機は、業績連動で決める一時金について最低4ヵ月とすると労組に内示したとのことです。定期昇給の先送りはNECやパナソニクにも広がりそうです。
 一方、トヨタ自動車は、定期昇給は維持しますが、賃金制度改善分(ベア)を4年ぶりにゼロ回答するそうです。一時金も、労組側の「基準内賃金5ヵ月+20万円」の要求に対し、回答は「5ヵ月+10万円」(組合員平均186万円)となる見通しで、一時金の満額割れは1999年以来10年ぶりとなります。トヨタ自動車の労使交渉は他の会社にも影響があり、今年の春闘はかなり厳しそうです。

土曜日, 3月 14, 2009

スイスの自国通貨売りによる為替介入、次は日本と中国か

 スイスのスイス国立銀行(SNB)が利下げとともに、他国通貨を買って自国通貨を売るという、スイスフラン売りの為替介入を行ったことが報じられていました。景気対策の一環で、自国通貨安誘導という手段をとったということが注目されています。
 貿易赤字を解消するには、対外債務を軽くする必要があります。そのためには、自国通貨の価値が下がれば債務の価値も下がります。自国通貨安誘導による借金棒引きのような対策で、かつてアメリカでもプラザ合意後、ドル安容認策をとってきました。容認と積極的な誘導とは違うようです。
 日本や中国もこの政策をとるのではないかと話題になっています。経済大国世界第二位の日本が行えば、スイスよりも世界経済に与える影響は大きいと見られます。現在日本は、円高により日経平均株価が下落している状況です。アメリカとしても、円売りドル買いという日本の為替介入の形で、米国債を引き受けてくれるのであれば願ったりです。
 今や世界各国がゼロ金利政策に移行しています。それでも景気回復しなければ量的緩和も含め、次なる一手を打たないといけません。もはや金利ではどうしようもないところでの対策ですから、為替操作というウルトラCが出てくるのでしょう。
 アメリカの超大型景気対策の原資である米国債の引受先が決まれば、一気に突っ走るでしょうから、こういった報道はアメリカにとっては追い風なのでしょうか。

金曜日, 3月 13, 2009

ハイブリッド車の低価格競争

 トヨタ自動車は200万円を切る新型ハイブリッド車を開発し、2011年にも日本で発売すると報じられています。他車種との部品共通化などでコストを抑え、現行「プリウス」(最低価格233万1000円)より2~3割安く、ホンダが2月に発売した「インサイト」(最低価格189万円)を下回る価格を目指すそうです。ハイブリッド車で先行するトヨタは世界需要低迷で業績は厳しいが、成長が見込める同分野への積極投資を続け、世界首位の座を堅持する考えとのことです。トヨタとホンダがそろって200万円を切る車種を投入すればハイブリッド車の価格帯は一般のガソリン車並みに近づき、燃料費の低減効果も含めれば同等の価格競争力を持つことになります。
 ハイブリッド車はその原動力である電池のコストが高く、ガソリン車に比べればどうしても価格は高めでした。ハイブリッド車の普及のためには、どうしても販売価格を下げることが必要です。製造過程におけるコストの削減は必須です。また、性能や重量も大事で、やたら重たいと燃費にも影響します。そこが、ハイブリッド車の量産のネックになっていたようです。
 中国が、まだ市場には出ていませんが、100万円ぐらいのハイブリッド車を発売するという話がありますが、これからは、価格競争は激化するでしょう。
 自動車産業の本家アメリカでは、ビッグ3の経営問題が話題になっていますが、ハイブリッド車を製造している新ビッグ3の育成中です。オバマ大統領は2015年までにアメリカで生産されたプラグインハイブリッド車を100万台普及させるということを打ち出しています。アメリカで生産と言うことは、すべてのパーツがアメリカ製でなくても、アメリカ以外の国の部品の本国で組み立てるのでも良いのです。いずえにしても、オバマ大統領の「New Energy for America」の政策の元、世界中でエコは大命題となってきました。
 ハイブリッド車に続くプラグインハイブリッド車、家庭用コンセントで充電できる車の普及が新しい産業を興すことは間違いないでしょう。
 このエコに伴って世界中で話題になっているのが原発エネルギーです。今まで凍結していた欧米が原発事業を復活させてきましたが、エネルギー分野も化石燃料からの脱却がテーマになるでしょう。今後の新聞記事に注目です。

火曜日, 3月 10, 2009

日本の1月の経常収支が過去最大、それが意味するものは

 日本の1月の経常収支が13年ぶりの赤字に転落し、赤字額は1,728億円と過去最大となったと報じられています。世界不況で自動車・家電などの輸出が激減していることに加え、所得収支が急激に落ち込んだのが要因のようです。海外に依存した日本経済の脆弱さ、構造の問題が指摘されます。
 経常収支とは、外国との間のモノやサービス、投資取引の収支を表す統計のことで、自動車や電化製品などのモノや、旅行や運送などのサービスの輸出額から輸入額を差し引いた「貿易・サービス収支」、対外直接投資や証券投資に伴う海外からの配当・利子など投資収益の結果を示す「所得収支」、政府開発援助(ODA)のうち、医薬品など対価を伴わない現物援助を表す「経常移転収支」の三つで構成されています。経常収支が黒字ということは、輸入よりも支出の方が多く、投資に対する支払いよりも配当、利子の法が多いことになります。経常収支が赤字ということは、輸出が減るという単純な話ではありません。日本のお金がなくなっていくということにも繋がります。
 そこで、冒頭の報道内容ですが、自動車や家電の輸出がふるわない貿易赤字、いわゆる日本製品が売れないということと、所得集日の急激な落ち込みという記事は、それだけたいがい直接投資が減っている、海外投資の利子配当が減っている、それも急激に減っているということです。
 日本の経常収支は1990年代後半以降、毎月1兆~3兆円ペースで黒字を積み上げてきました。国としての貯蓄が増えてきたことになり、家計にたとえれば非常に安定した家計簿であることになります。対米輸出を中心に貿易黒字が拡大し、さらに、日本企業の海外進出の加速により現地企業からの配当収益が増加、米国など高金利国での債券運用も好調で、所得収支も大幅な黒字となっていました。2008年通期では貿易黒字4兆円に対し、所得収支の黒字は約16兆円となるなど、投資収益が輸出をしのぐ日本経済の「もうけの源泉」となっていました。投資が収益源でした。それだけ海外の金利が高かったということです。
 しかし、年明け以降、海外現地法人の業績不振などで日本企業が受け取る配当金が急減。相次ぐ利下げで欧米の長期金利が低下したことや、円高により海外債券の運用益も落ち込み、1月の所得収支の黒字は前年同月比3割以上も減りました。米欧の景気悪化による輸出減で、貿易収支は昨年11月から3カ月連続で赤字に転落。運輸などのサービス収支も急速に落ち込み、1月の貿易・サービス収支の赤字は1兆1,002億円に膨らんだそうです。
 経常収支は現行の統計方式になった1985年以降、1990年1月(68億円)、1991年1月(143億円)、1996年1月(256億円)と過去3回赤字を記録しましたが、いずれも正月休みによる輸出減が主因と、ある意味、理由が納得できるようなものでした。しかし、今回はこれに加え、世界的な不況で輸出で外貨を稼ぎ、海外投資でもうけを拡大するという構図が成り立たなくなってきたことが要因として浮上しています。経常赤字が続けば、海外からの資金流入に経済活動を依存する傾向が強まる。日本にとって、長期金利急上昇などの弊害が懸念されると指摘されています。つまり、日本の経済の体制、つまりは輸出頼み、外国投資頼みが仇をなしているということです。
 この日本の1月の国際収支は13年ぶりに経常赤字に転落し、赤字額が現行の統計開始以降、最大を記録したことをうけ、外需低迷による貿易の縮小が改めて示されたと同時に、日本の景気悪化の長期化懸念が一段と強まったことから、対ドルで円は売られた格好になります。与野党の政治の型後他も嫌気されています。3月という決算時金やSQの時期もあり、株は売られる傾向にある時期に、円が売られて、株や円の全面安という状況になっているようです。また、次々と発表される経済指標の悪化(だと思いますが)により、実体経済(経済は現場で起きているという現場)の悪さから、まだまだマーケットは厳しい状況が予想されます。まさに辛抱の3月です。
 ただ、春になると、徐々に各国の(日本は除かれるのでしょうか)政策が力を出してくると思われます。何度ももうしますが4月2日G20ロンドン金融サミットが潮目かと思われます。春よ来い、早く来いという状況です。

月曜日, 3月 09, 2009

中国全人代開幕

 中国が動けば世界がびくっとするという感じで、日本の国会に当たる中国全人代(全国人民代表会議)が開幕し、そこでの報告が注目されています。 温家宝首相が冒頭活動報告で、国内総生産(GDP)成長率8%達成への決意を表明しました。とにかく中国は成長し続けない限り雇用は確保できないという状況です。また中国の成長が世界の資源の使用量に大きな影響があり、まさに世界の経済の、資源と消費、両方に中国の存在が多きようです。
 中国国内の景気浮揚のために2009年政府支出は前年比22%増の7.6兆元(109兆円)が見込まれています。内需拡大が盛り込まれ、建機などの産業が注目されます。 中国沿岸部では失業者が増えて、内陸部へと帰っていく人が増えているとか。ただ、今回のアメリカ発の金融不安には直接の関連はなく、むしろ、アメリカ国債の重要な引受手ではあります。その分、ドル暴落は回避したい立場です。ある意味、アメリカとは運命共同体のような感じです。
 伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長は、中国も含めて日本の内需といってアジアの協力を訴えていました。日本にとっての中国との関係は、米中以上に重要な気がしますが、日本でどれだけそれが感じられているのでしょうか。いずれにしても、日本はアジアの一員であることをいつか思い知らされることがあると思います。

日曜日, 3月 08, 2009

日本の株式は割安?フランスの年金資産が日本株買いへ

 大和住銀投信投資顧問、DIAMアセットマネジメント、フィデリティ投信の3社は欧州の大手公的年金基金、フランス国民年金基金から日本株の運用を受託したと報じられています。約9億ユーロ(約1100億円)の資金を預かり、日本株に投資するようです。フランス国民年金基金は2009年運用分から、これまでアジア株の1つとして運用していた日本株専用の投資枠を設け、約1,100億円を振り向けることを決めました。大和住銀、DIAMは同基金から運用を受託するのは初めてで、契約期間は原則4年。東京株式市場では外国人投資家の売り越しが続いていますが、欧州マネーの一角は割安とみた日本株投資への関心を高めているようです。
 日本国内においても、この年金資産は大きな力となります。5日付けの株式新聞には「下げない強さの深層」として企業年金連合会の日本株式買いを取り上げています。 年金資産の運用は、毎年、その年のポートフォリオを決め、日本株を何パーセント買うかを決めています。株価が下がってくると、株式へ投資した額が目減りし、全体の日本株式の割合が下がってきます。そこで、下がった分だけ買いまして、当初決めた総資産に対する日本株式の割合を元に戻します。ここで、年金資産が株を買うことになります。それで、日経平均株価が、あるところで下げ止まるという現象が起きます。
 アメリカでも有名なカリフォルニア州のカルパースという巨額な年金資産があり、その運用策は注目されます。年金はその国の大多数の人のお金ですから、年金資産が動けばそれは一大ムーブメントになります。
 日本の政治にもよりますが、世界的に「円」は優良通貨でしょうから、日本株式は現在の水準では割安と判断されてもおかしくはありません。外人頼みはいかがなものかと思いますが、株価上昇という意味では期待できるのではないでしょうか。

水曜日, 3月 04, 2009

なぜ自動車産業ばかり注目されるの

 ビッグ3というネーミングなど、なぜやたら自動車産業ばかりが話題になるのでしょうか。他にもいろんな業界がありますが、世界的に自動車産業は基幹産業だからこんなに注目されるのです。
 まずは労働人口が自動車業界に集中していることです。この業界が不況と言うことは、失業率に大きな影響を与えます。自動車業界の労働組合も規模が大きく、他の労働組合への影響が大きいこともあげられます。日本の春闘は、トヨタの結果が大きな影響を与えます。
 自動車は、家庭への普及率が高く、7年ぐらいで買い換えられるもので、景気循環にも影響があります。自動車製造に関してもいろんな業界が関与して、製造過程においても裾野の広い業界です。その分労働人口も多いということになります。
 それ故、アメリカに於いて、政府支援をしてまでも、言い換えれば一企業に税金を投入してまでも救済しようとするわけです。
 そこで、新車販売の数字はマーケットでは注目されます。2月の米新車販売台数(速報値)は前年同月比41.4%減の68万8,909台、年率換算では912万台と、同957万台だった1月よりさらに悪化し、約27年ぶりの低水準となったようでえす。メーカー別では米ゼネラル・モーターズ(GM)が53%減、フォード・モーターが48.2%減、クライスラーが44%減。日本勢もトヨタ自動車が39.8%減、ホンダが38%減、日産自動車が37.1%減と軒並み1月より減少幅が広がりました。GMによると2カ月連続で中国の新車市場に抜かれたとのことです。
 ヨーロッパでは、ドイツやフランスなど、条件はありますが、新車を買えば政府が補助金を支給するといった政策も登場しています。
 また、この分野は、グリーン・ニューディールの名のもと、さらに注目を浴びています。電気自動車です。この分野は、電池業界も含めて、今後のバブル創出の大きな鍵となっています。プラグインハイブリッド車の普及は、充電ステーションの設立など、関連も含めれば、新しい産業の創出にもなります。
 

火曜日, 3月 03, 2009

AIGにシティバンク、大きすぎて潰せない?

 ニューヨークダウが6800ドルを割り込みました。1997年4月末以来約11年10か月ぶりの安値になります。AIGへの追加融資など、金融不安によると報道されています。
 金融機関が保有する不動産などの証券化商品「レベル3」の査定が、まだまだいくらになるのか全然わからないという状況のようで、今の発表の資産状況では生まないという不安がまん延しています。 
 AIGには合計4回も公的資金が投入され、18兆円もの金額に昇るようです。AIGは「CDS」と呼ばれる、金融機関等の「レベル3」が破綻したときに保障する商品を大量に販売していて、もしAIGが破綻したら他の金融機関への影響が多大になるとの判断から「潰せない」ということなのでしょう。公的資金は、あくまでも国から借りているので、当然リソクが発生します。それを返却する資金を、アリコなどの生命保険会社を売却して、それにあてるところでした。ところが景気低迷により買い手が見つからなかったので、アリコの株を政府に引き受けてもらうことで、何とかしてもらえないかと言うことです。アリコの収益のほとんどは日本で稼いでいるそうです。
 今後金融機関は、「レベル3」と呼ばれる資産を、バランスシートから外すことしか救われないようです。そのためには、「レベル3」がいったいいくらなのかを決めなければならないのですが、金融機関本体が発行するもの、関連機関がするもの、租税回避地(タックスヘイブン)で発行しているものなど、まだまだ実態がつかめていないとのことです。
 また、AIGやシティバンクなど、幅広い金融機関救済のためには巨額の資金が必要で、単純に200兆円ものお金が必要です。これを米国債でまかなわなければならないのですが、世界中で買い手を探さなければなりません。このめどが立つかどうか(日本や中国との交渉だと思います)がポイントです。

月曜日, 3月 02, 2009

EU臨時首脳会議、金融感と危機感の創設、経済危機脱出へ

 欧州連合(EU)の臨時首脳会議において、金融機関に対する規制・監督を強化するため欧州統一の金融監督機関の創設を確認しました。また、通貨危機に見舞われた中・東欧を含む欧州全域の金融安定の重要性を強調し、新車に買い替える消費者への奨励金など各国が協調して自動車産業を支援することを打ち出しました。共同声明は、4月2日にロンドンで開かれる第2回金融サミットに向け、EU
27か国の結束を図り、単一市場として協調行動をとることを強調しています。
 金融安定化策では、各国の金融監督当局の上部組織となる横立断的な機関の創設を、6月までに具体案を詰めることを確認しました。金融機関の損失拡大要因となっている不良資産対策では、統一指針に沿って、早期処理を進める方針を確認しました。各国間で差がある政府支援の足並みをそろえる狙いです。経済悪化が雇用に与える影響を最小限に抑えるため、EUの既存基金を活用する方針も明記しました。EU崩壊が危惧されるくらい、今回の経済危機でのダメージ度が各国によってことなり、厳しいところは相当に大変のようです。
 欧州では、金融危機の影響で主要な金融機関の業績が軒並み悪化、公的資金による経営テコ入れが相次いでいます。英ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)はこれまでに約4兆5,000億円の公的資金が投入され、実質国有化されました。独コメルツ銀行は約2兆2,000億円の公的資金が投入され、アイルランドでは主要3行が実質国有化される事態となっています。
 各国の金融監督当局間で情報交換が適切に行われず、ユーロ圏の金融政策を担当する欧州中央銀行、各国中央銀行、各国当局の意思疎通も不十分だった点が危機拡大を招いた一因とされ、EUは横断的な監督組織を設けることで国境を越えて活動するメガバンクの経営実態を的確に監視するほうこうで動きます。金融市場のリスクを早期に把握するため、中央銀行と監督当局が参加する新組織も検討されています。
 このほか、保護主義の拡大阻止で一致。世界貿易機関(WTO)交渉の早期の大枠合意を目指すことも確認しました。
 ヨーロッパの痛み具合が一番深刻です。ユーロ誕生後の初めての大きな危機をどう乗り切るか、まさに正念場といえるでしょう。

政府の株価対策、銀行棟保有株式買取機構

 政府・与党は、株価・金融安定化策の一環として、銀行と企業の持ち合い株に限っている「銀行等保有株式取得機構」の買い取り対象を、銀行が保有する社債や転換社債(CB)にも広げる方向で検討を始めました。買い取り規模は数兆円から最大で10兆円程度を想定しています。実現するには、国会で審議中の株式取得機構の関連法案の修正が必要となります。
 昨年9月のいわゆる「リーマン・ショック」以降、投資家のリスク回避姿勢が強まり、企業の長期資金の調達を担う社債市場は「機能不全」に近い状況。格付けが低い企業の新規社債発行が困難なだけでなく、高格付け企業でも発行時の金利コストが急上昇しています。
 このため、日銀は2月19日の金融政策決定会合で、1兆円を上限に社債を買い取る措置を決定しましたが、40兆円以上の規模がある社債市場のテコ入れには力不足と指摘されています。日銀が買い取り対象の社債の条件を「償還までの期限が1年以内、格付けも『シングルA』以上」と厳格にしたため、産業界などから政府に社債市場への支援強化を求める声が高まっています。
 銀行等保有株式取得機構を通じた社債・CBの買い取りは大企業や中堅企業の資金繰り不安を抑えるとの期待もあるようです。
 政府・与党は、取得機構の社債買い取りの対象に、格付けが相対的に低い社債や償還までの期間が長い社債も含めることを検討、また、銀行保有分だけでなく、企業が新規発行する社債やCBを直接引き受ける案も浮上しています。