金曜日, 10月 19, 2007

公的年金運用、中小型株に拡大/医療・介護水準維持 国民1人の負担増10~12万円ーこの記事から

 今年はブラックマンデーから数えて20年目に当たる年です。その年に、やはりアメリカ発のサブプライムローン問題が勃発しました。「ブラックマンデー」とは、1987年10月の史上最高の株価下落の日をを言います。歴史の教科書で学んだ「世界恐慌」は1929年の「暗黒の木曜日」が発端となったものです。ブラックマンデーの時は予想以上の米国の貿易赤字や、プラザ合意後の金利引き上げ観測、出たてのコンピューターによるプログラム取引による売りの売り連鎖が要因と言われています。20年の節目のサブプライム問題、何かの因縁でしょうか。ちなみにこのブラックマンデーの年に登場したのがアラン・グリンスパンFRB前議長です。

公的年金運用、中小型株に拡大
 公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(年金運用法人)は、2008年初めに中小型株に特化して投資する新しい資金枠をつくるそうです。規模は1,000億円程度で、新興市場に上場するベンチャー企業株も購します。投資先を中長期的に成長を期待できる中小型株に広げ、運用利回りの向上を目指すそうです。年金運用法人は厚生労働省の委託を受け、150兆円の公的年金積立金のうち90兆円を国内外の株式・債券で運用しています。国内株の運用額は全体の2割強の20兆円で、ここから1,000億円を新しい資金枠に振り向けます。

医療・介護水準維持 国民1人の負担増10~12万円ーこの記事から
 医療・介護給付の水準を将来にわたって維持するには、2025年時点で、20歳以上の1人あたりの税と保険料を合わせた負担増は年間10万~12万円程度になるとの厚生労働省は試算しました。内閣府が17日公表した試算(対象は20~64歳)では、現行より3割、41万円の負担増としていました。試算の前提条件が違うが、政府内で大幅に異なる結果となっています。 経済財政諮問会議に提出された内閣府の試算では、給付水準の維持のためには税と保険料を合わせた負担は11兆~12兆円増え、財政再建分も含めると2025年度には14兆~31兆円の増税が必要としました。20~64歳の現役世代の1人あたりの負担は2008年度の121万円から162万円に増えます。これに対し、厚生労働省は、内閣府の試算のうち11兆~12兆円の負担増分だけを取り出しました。名目成長率が3.2%の「成長ケース」の場合、1人あたり10.6万円程度の増加、名目成長率2.1%の「制約ケース」では、12万円程度の増だそうです。試算結果が異なるのは、内閣府が現役世代(2025年度時点で6,700万人)がすべて負担することを前提にしているのに対し、厚生労働省は高齢者も税や保険料を支払うことから、20歳以上の全国民(1億235万人)で負担を分け合うためのようです。また、厚生労働省の試算では、国民所得に占める社会保障の税負担の比率は2007年度の7.8%から2015年度は8.5%に増えますが、その分を消費税でまかなっても「1%程度の引き上げで済む」と楽観的な数字を挙げています。かくも、前提条件で必要な資金は異なります。税負担という、私たちの生活に直結する問題に関して、法律を作る側次第で左右されるのはいかがな物かと思います。「10年安心年金制度」と言って、その後、特殊出生率の数字が違っていたなんて事がありましたね。法案を通すための数字の調整とも思える行為は、前提条件が異なります。内閣府と厚生労働省の将来の国民一人当たりの税・保険料負担の違いは、慎重に見ていきたいと思います。