欧州連合(EU)の欧州委員会は、総額2,000億ユーロ(約25兆円)規模の経済対策を加盟国に提案、今後2年間で企業支援や税制優遇などの景気刺激策を各国に求めたほか、付加価値税(日本の消費税に相当)引き下げによる消費促進も盛り込みました。金融危機に伴う深刻な景気後退をにらみ、財政規律を重視する政策を転換。日米と協調して景気を下支えします。経済対策の規模は域内総生産(GDP)の1.5%分に相当、財政政策は加盟国がなお主権を握っており、欧州委は経済対策で各国に約1,700億ユーロの財政出動を求めました。景気刺激策は向こう2年間で集中的に実行し、この間はEUが特例的に各国の財政赤字の拡大を容認して財政支出の余地を広げます。これと並んで欧州委はEU予算などから約300億ユーロを拠出し、横断的に失業補償や職業訓練、研究開発投資を進める計画です。
アメリカのサブプライムローン問題はいち早くヨーロッパに波及。本家でハレーションを起こす前にヨーロッパ火の手が上がったのも皮肉なものです。EU発足以来初めての経済危機です。ここをどう乗り切るかが、今後のEUの方向性にとっては非常に重要な局面です。果たして一致団結して、難局を乗り切れるかどうかが試されています。