11月23日、米財務省と連邦準備制度理事会(FRB)はシティグループに対して、シティ保有の住宅・不動産関連の不良資産3,060億ドル(約29兆1,500億円)について大半を政府が保証し、さらに200億ドル(約1兆9,000億円)を追加で資本注入する巨額の救済策を発表しました。その前の週に、250億ドルの資本注入を受けたばかりで、注入額は450億ドルになります。救済策では、住宅ローンや不動産担保証券など3,0600億ドルを不良資産と算定。損失が出た場合、最初の290億ドルはシティが自力で処理、それ以上は政府が9割を負担して処理します。
政府の損失負担の一部と、追加資本注入分は、緊急経済安定化法の予算枠7,000億ドルから支出。今回の決定で予算枠からの支出は3,000億ドルを超えることになります。支援と引き換えに、シティは優先株70億ドル分を政府に発行し、年8%の配当を支払います。また、住宅差し押さえ抑制のため、ローン融資条件緩和を要求され、役員報酬や株式の配当も制限されます。救済策とりまとめには、次期財務長官に起用されるガイトナー・ニューヨーク連銀総裁も加わったようです。
シティは株価が3ドル台まで急落していました。アメリカ政府やFRBの、まさにウルトラCとも言えるこうとです。おそらく次はバンク・オブ・アメリカ、次いでJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴと救済は続くと思われます。
もう何でもありの状況で、FRBは企業が保有しているCPの買い取りも始めました。ニューヨークダウ創設以来からラインナップされている唯一の企業GEも、今はその業績の半分が金融ということもあり、今回の荒波にもまれ、CPを買い取って貰うようです。自動車業界救済が急務のようです。
おそらくこれで世界金融恐慌の出口が見えてくるのでしょう。政府が金融機関やビッグ企業を全面的に救うことで、流れが変わるかもしれません。
クリスマス商戦は、小売業の年間売上の3割をしめる重要な時期です。この時期に、シティ救済策を打ち出したのは、クリスマス商戦を見据えてのことでしょう。これがきっかけに潮の流れが変わることを期待します。