昨晩、日本時間21時15分発表の、ADP雇用統計が、市場予想前月17.5万人増を大きく下回って、3.8万人増にとどまったこと、さらに、日本時間23時に発表された、5月ISM製造業景況指数も、市場予想57.2%が53.5%(ちなみに、4月は60.4%)と、やはり市場予想を下回ったことで、ニューヨークダウは大きく値を下げ、リスク回避の動きからか、株式市場から債券市場に資金がシフトしたようで、米国債10年物の利回りが、3%を切りました。当然、為替にも影響があり、ドル/円では、1ドルは81円を割り込んでいます。
ADP雇用統計(Automatic Data Processing)は、投資家が最も注目する月に一回のイベントとも言われる、第一週金曜日発表の雇用統計の2日前に発表される雇用指数です。ADP雇用統計は民間企業の発表ですが、労働省発表の雇用統計に非常に近い方法での調査であることや、ADP社が、全米約50万社、約2400万人の給与計算業務を代行している関係上、非常にサンプリング数が多いことから、大変注目されている指標です。
ISM製造業景況指数(ISM Manufacturing Report on Business)は、製造業300社以上の、購買担当役員のアンケート調査により作成されたもので、景気転換の先行指標であり、製造業の最重要指標の一つとされています。数値の読み方は、「50」を上回ると景気拡大、逆に「50」を割り込むと景気後退と判断され、主要経済指標の中で、最も早く発表されることから注目されています。過去、米連邦準備理事会(FRB)は50%を下回った際に一度も利上げをしておらず、FRBの利上げスタンスを見極める意味でも注目されています。そういった観点からでは、2009年8月以降、一度も50%を下回ってはいません。
今日は、失業保険申請件数の発表で、こちらも毎週木曜日に前週分が発表され、非常に重要な経済指標です。当面の注目は、40万件を割るかどうかで、40万件を割れば、雇用は回復していると判断されます。