みずほフィナンシャルグループ(FG)は、31日に発表した2007年4~12月期連結決算で、米低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」関連の損失として3,450億円を計上しました。みずほを含む大手銀行66グループのサブプライム損失は2007年4~12月期で総額5,300億円となり、2007年9月中間期の1,100億円の5倍近くに膨らんだことになります。2008年3月期は損失がさらに最大1,000億円増える見込みで、欧米金融機関に比べ限定的と見られていた日本の銀行のサブプライム損失が拡大している現状が明らかになりました。みずほFGは、傘下のみずほ証券が保有する証券化商品の価格下落で損失額が拡大、2007年11月時点で予想した1,700億円のほぼ2倍、6グループで最大の損失額となりました。金融市場の混乱は収まらず、2008年3月末までに約500億円の追加損失を見込みます。三菱UFJフィナンシャル・グループが同日発表した2007年4~12月期のサブプライム関連損失も550億円で、9月中間期に計上した損失の10倍以上になりました。通期では最大950億円まで拡大する見通しです。サプライムローン問題は、その証券化商品の損失額が、基準となる指標がなく、その価値がいくらなのかがわからないのが問題です。日本の銀行の損失は銀行経営の根幹を揺るがすほどのものではないと思われますが、欧米の銀行では、自己資本比率も大幅に下げるおそれがあるなどの観測が不安をあおっています。
住宅着工、減少幅縮む・12月19%減、戸建て立ち直り
耐震偽装の再発を防ぐための制度改正の影響で急減していた新設住宅着工戸数に持ち直しの兆しがでてきました。国土交通省が31日発表した昨年12月の着工戸数は前年同月比19.2%減の8万7,214戸。減少率は二ケタ台が続くものの、前月の27%減から縮小。戸建てなど中小住宅の着工回復で、最悪期は脱した格好のようですが、マンションは49.7%減と、大幅減が続いており、先行きに不透明感も残っています。着工戸数の急減は国交省が昨年6月に施行した「改正建築基準法」で、建築確認手続きを厳しくしたのが原因で、同省の説明不足で建築確認の実務者らが混乱、2007年の年間着工戸数は前年比17.8%減の106万741戸となり、40年ぶりの低水準に落ち込んだのでした。ただ前年同月比で40%超の減少率を示した8~9月に比べれば状況は改善してきたようで、12月の着工戸数を、季節変動による影響を除いた季節調整値(年率換算)でみると105万戸。前月比では9月の73万戸を底に3カ月連続で増加しました。日本特有の景気悪化原因「政策不況」の最たる物です。
未成年者の死亡保障規制、金融審が結論先送り
金融審議会(首相の諮問機関)は31日、生損保各社が未成年者の死亡保障の上限を自主的に1000万円に引き下げる案などで決着を目指したが、反対意見が相次ぎ、結論を先送りしました。同日の会合では生損保側が上限引き下げや他社の契約状況のチェック強化などで、子供の殺人を見越した保険加入を防いでいくと表明。金融庁も各社に体制整備を義務づけるよう関係法令を改正する考えを示しました。これに対し、こうした手法では不十分との意見や、未成年者向け死亡保障の必要性に疑問を投げかける意見が収まらず、合意には至りませんでした。未成年者向け保険だけでなく、配偶者などが被保険者の同意を得ずに入る保険の規制でも問題提起があり、金融庁は近く、死亡保障の規制のあり方などを改めて議論する場を設け、仕切り直しする方針です。