ニューヨーク外国為替市場では、ドル指数が全面安状態です。主要6通貨に対するドル指数が2年9か月ぶりに低水準に落ち込みました。FOMCの金利低水準維持に対する反応なのでしょうか。
円はすべての通貨に対して上昇しています。先週の国内投資家の対外証券投資が1628億円の売り越しとなったことが原因のようです。日本企業によるレパトリエーション(本国への資金還流)が活発になるとの見方が強まっています。国内での資金需要の答えるため、海外で外貨を売って日本にもちかえるというのがレパトリエーション(本国回避)です。
ただ、これらは原因がはっきりとしています。つまり、アメリカが利上げすれば、ドルは上昇します。日本の資金需要が落ち着けば、つまり、日銀が量的緩和を促進させれば円高は止まります。政策いかんによって、この流れは大きく変わる党ことです。そして、今、経済の流れは、徐々にですが、ドル高へと向かいつつあると言えます。その背景が、アメリカ企業の業績改善、アメリカ株高によるアメリカ経済の復活です。
ヨーロッパは、2013年に 欧州版IMF、正式名称は欧州安定メカニズム(ESM)を設立します。そこに、ギリシャなどの財政問題の諸国が、財務を肩代わりしてもらおうということになっていて、その債務の積極的解決がユーロを押し上げている原因と言われています。
いまは、どの通貨が危険かという競争のようで、財政赤字が先進国ダントツトップの日本円が、比較により安心となっているようです。そうなると、やはり今年6月以降のアメリカ利上げ模索の流れによるドル高が進めば、ヨーロッパの財政問題への取組が評価されれば、震災復興のための量的緩和が必要な日本円が高くなる理由はなくなります。
当面は円高ですが、様々な要因が入れ替わると、その後は一気に円安へと舵を切りそうなマグマが潜んでいるような気がします。