東日本大震災後、急激な円高に振れました。ご存じのとおり、日本企業の国内資金ニーズのため、海外資産を売却して本国の戻すことによる円高、そのトレンドに乗じてヘッジファンドは円買いポジションを強化したという流れのようです。これには住友生命の、いち早い面積除外の、保険寄進払い枠を広げたことにより、日本生命等、他社もこれに追随せざるを得なくなり、保険会社が米国債を大量に売るのではとの観測から、円高はさらに進みました。
政府・日銀は、これに歯止めをかけるために、欧米各国との協調介入を行い、対ドルでも80円台を維持させてきました。対ユーロでも、何とか円高を阻止できたかの格好になっています。
対ドル貿易では、原材料の輸入、加工品の販売という構図の関係から、対ドルに対して円高はさほど、痛手をこうむる構図では荷のですが、対ユーロ圏での貿易では、製品の輸出入が多いので、こちらは、ユーロの他する円高は、貿易赤字を膨らますことになります。ユーロとの値動きが、むしろマーケットには大きな影響を与えるようです。
1995年阪神淡路大震災の時も、震災後3か月後に対ドル最高値の76.75円をつけ、その後は一気に円安へと転じています。ミスター円・榊原英資主導の協調介入により、その後は20円もの円安に動きました。金年にはオーム真理教の地下鉄サリン事件もありました。
今年は、1995年と似ているといえば、大震災と協調介入です。1995年時は金融不安で、日本の金融機関が軒並み倒れ掛かっていたころです。今とは情勢は異なりますが、今の方が財政赤字は深刻です。震災復興資金のための赤字国債発行により、格付け会社が、日本国債の格下げを考えているでしょうから、日本国債は下落する可能性があります。そうなると超円安への布石となります。東日本大震災での復興資金は、15兆円とも20兆円とも25兆円とも言われています。阪神淡路大震災の時は10兆円でした。規模が全然違います。
計画停電による電力供給のもろさ、原発の恐怖、政治不安など、外資系が日本に来ないとなると、円安は止まらないかもしれません。長期金利の上昇と円安になると、異様な物価高となり、年金生活者は大変困ります。
となると、円安傾向と考えざるを得ません。為替には要注意ですね。