日本郵政グループのかんぽ生命保険は、がん保険発売を見送ることを決定しました。TPP(環太平洋連携協定)交渉参加に関して、アメリカ側に配慮したと報じられています。アメリカ側ということは、アメリカの保険会社に気を使ったということでしょうか。
アメリカによる日本のTPP参加の障害となっているのが、規制ですが、特に、日本郵政の存在は実に大きな問題です。小泉・竹中路線で、ようやく郵政の牙城を崩せたかと思えば、国の関与の在り方で、本当の意味での民営化が大きく後退したことに対する、アメリカ側の不快感の表れなのでしょうか。日本のTPP参加に待ったをかけてきました。
国がバックについているゆうちょ銀行やかんぽ生命と、民間企業が競争することは不公平であるというのが、日本の金融機関のみならず、外資系金融機関の言い分です。この規制の本丸とも言える郵政の民営化問題は、まさにTPPにおいても大きな課題となるでしょう。
似たようなTPP参加の障壁が薬剤の問題です。厚生労働省により規制、薬価制度です。新薬販売に対する当局の認可が、外資系企業の日本市場参加の大きな障壁となっています。薬剤費が医療保険適用であるが故の、厚生労働省の規制を、外資系はどうにかしたいのでしょう。
この郵政と薬剤の話は、日本市場開放の試金石となることのようです。守るべきか市場開放すべきかは、日本の魂だとかの情緒論ではなく、その後の日本の国益がどうなるかが重要です。薬剤購入日が保険適用外になったら、私たち庶民の家計には大打撃です。郵政の民営化は、今までの日本人の安全神話で郵貯・簡保に預けていたお金が、海外資本の標的にされることになりますが、薬剤の話とは、少し系統が異なります。
どちらも、十分な議論が必要です。ただ、TPP参加ということで、どちらも一緒にまとめて規制が取っ払われることはいかがなものかと思います。
徐々に、今までの社会構造は変化する足音が聞こえてきそうで、ちょっと怖いですね。