日本の1月の経常収支が13年ぶりの赤字に転落し、赤字額は1,728億円と過去最大となったと報じられています。世界不況で自動車・家電などの輸出が激減していることに加え、所得収支が急激に落ち込んだのが要因のようです。海外に依存した日本経済の脆弱さ、構造の問題が指摘されます。
経常収支とは、外国との間のモノやサービス、投資取引の収支を表す統計のことで、自動車や電化製品などのモノや、旅行や運送などのサービスの輸出額から輸入額を差し引いた「貿易・サービス収支」、対外直接投資や証券投資に伴う海外からの配当・利子など投資収益の結果を示す「所得収支」、政府開発援助(ODA)のうち、医薬品など対価を伴わない現物援助を表す「経常移転収支」の三つで構成されています。経常収支が黒字ということは、輸入よりも支出の方が多く、投資に対する支払いよりも配当、利子の法が多いことになります。経常収支が赤字ということは、輸出が減るという単純な話ではありません。日本のお金がなくなっていくということにも繋がります。
そこで、冒頭の報道内容ですが、自動車や家電の輸出がふるわない貿易赤字、いわゆる日本製品が売れないということと、所得集日の急激な落ち込みという記事は、それだけたいがい直接投資が減っている、海外投資の利子配当が減っている、それも急激に減っているということです。
日本の経常収支は1990年代後半以降、毎月1兆~3兆円ペースで黒字を積み上げてきました。国としての貯蓄が増えてきたことになり、家計にたとえれば非常に安定した家計簿であることになります。対米輸出を中心に貿易黒字が拡大し、さらに、日本企業の海外進出の加速により現地企業からの配当収益が増加、米国など高金利国での債券運用も好調で、所得収支も大幅な黒字となっていました。2008年通期では貿易黒字4兆円に対し、所得収支の黒字は約16兆円となるなど、投資収益が輸出をしのぐ日本経済の「もうけの源泉」となっていました。投資が収益源でした。それだけ海外の金利が高かったということです。
しかし、年明け以降、海外現地法人の業績不振などで日本企業が受け取る配当金が急減。相次ぐ利下げで欧米の長期金利が低下したことや、円高により海外債券の運用益も落ち込み、1月の所得収支の黒字は前年同月比3割以上も減りました。米欧の景気悪化による輸出減で、貿易収支は昨年11月から3カ月連続で赤字に転落。運輸などのサービス収支も急速に落ち込み、1月の貿易・サービス収支の赤字は1兆1,002億円に膨らんだそうです。
経常収支は現行の統計方式になった1985年以降、1990年1月(68億円)、1991年1月(143億円)、1996年1月(256億円)と過去3回赤字を記録しましたが、いずれも正月休みによる輸出減が主因と、ある意味、理由が納得できるようなものでした。しかし、今回はこれに加え、世界的な不況で輸出で外貨を稼ぎ、海外投資でもうけを拡大するという構図が成り立たなくなってきたことが要因として浮上しています。経常赤字が続けば、海外からの資金流入に経済活動を依存する傾向が強まる。日本にとって、長期金利急上昇などの弊害が懸念されると指摘されています。つまり、日本の経済の体制、つまりは輸出頼み、外国投資頼みが仇をなしているということです。
この日本の1月の国際収支は13年ぶりに経常赤字に転落し、赤字額が現行の統計開始以降、最大を記録したことをうけ、外需低迷による貿易の縮小が改めて示されたと同時に、日本の景気悪化の長期化懸念が一段と強まったことから、対ドルで円は売られた格好になります。与野党の政治の型後他も嫌気されています。3月という決算時金やSQの時期もあり、株は売られる傾向にある時期に、円が売られて、株や円の全面安という状況になっているようです。また、次々と発表される経済指標の悪化(だと思いますが)により、実体経済(経済は現場で起きているという現場)の悪さから、まだまだマーケットは厳しい状況が予想されます。まさに辛抱の3月です。
ただ、春になると、徐々に各国の(日本は除かれるのでしょうか)政策が力を出してくると思われます。何度ももうしますが4月2日G20ロンドン金融サミットが潮目かと思われます。春よ来い、早く来いという状況です。