政府・与党は、株価・金融安定化策の一環として、銀行と企業の持ち合い株に限っている「銀行等保有株式取得機構」の買い取り対象を、銀行が保有する社債や転換社債(CB)にも広げる方向で検討を始めました。買い取り規模は数兆円から最大で10兆円程度を想定しています。実現するには、国会で審議中の株式取得機構の関連法案の修正が必要となります。
昨年9月のいわゆる「リーマン・ショック」以降、投資家のリスク回避姿勢が強まり、企業の長期資金の調達を担う社債市場は「機能不全」に近い状況。格付けが低い企業の新規社債発行が困難なだけでなく、高格付け企業でも発行時の金利コストが急上昇しています。
このため、日銀は2月19日の金融政策決定会合で、1兆円を上限に社債を買い取る措置を決定しましたが、40兆円以上の規模がある社債市場のテコ入れには力不足と指摘されています。日銀が買い取り対象の社債の条件を「償還までの期限が1年以内、格付けも『シングルA』以上」と厳格にしたため、産業界などから政府に社債市場への支援強化を求める声が高まっています。
銀行等保有株式取得機構を通じた社債・CBの買い取りは大企業や中堅企業の資金繰り不安を抑えるとの期待もあるようです。
政府・与党は、取得機構の社債買い取りの対象に、格付けが相対的に低い社債や償還までの期間が長い社債も含めることを検討、また、銀行保有分だけでなく、企業が新規発行する社債やCBを直接引き受ける案も浮上しています。