バッドバンクとは、経営が悪化した金融機関から不良資産を買い取り、管理、処分する機関のことです。金融機関が含み損を抱える証券化商品などを保有したままだと、一層の価格下落で損失が膨らむ恐れがあるので、完全に切り離せば、損失拡大は食い止められ、財務の健全性確保の第一歩を踏み出せることになるというのが、バッドバンク設立の目的です。
銀行においては、自己資本比率8%を維持しないと、世界各国で営業できないという厳しいルールがあります。この証券化商品が、もう市場では買い手がいなく、いったいいくらの値段になるのかが予想できない状況で、その証券化商品を持っているだけで、銀行の自己資本比率維持は難しい状況にあります。自己資本比率維持に躍起になっていると、肝心の企業等への貸し付け、本来の金融の役目が果たせないと言うことになります。ますます持って世界経済は立ちゆかなくなります。
そこで、政府が主導して、この証券化商品を銀行の会計から切り放すシステムを無理矢理作るのがバッドバンク構想です。しかし、銀行などの金融機関が、自分のもうけのために勝手に作った証券化商品を、さんざん儲けた商品がダメになったからというって、政府に、しかも税金を使って金融機関を助けるというのは納得いかないという意見もあります。国民としては当然の感情です。
アメリカ政府として、全額公的資金でバッドバンクを作る方向だったのが、議会の承認を得られず、民間の活力も得るという方向転換になったのです。みんなで助け合って、とにかく今の危機を脱しようというものです。そんな中で、AIGの幹部の高額ボーナス問題です。これは、公的資金投入の金融機関への政府の監視が甘いとの指摘があり、政府にしてみればなんてことをしてくれるんだという感じでしょうか。金融安定化政策や景気対策は、公的資金投入といっていますがすべて税金です。名だたる金融危機案は国営となり、アル意味で社会主義国になったようです。そんな中でのAIG問題は、あり得ない許せない問題だということは、税金を支払っている方にすれば当然のことです。
アメリカでは、1980年代後半、貯蓄貸付組合(S&L)の破綻(はたん)急増に伴い設立された整理信託公社(RTC)が代表例で、日本では、銀行の不良債権を買い取る整理回収機構が相当します。
ヨーロッパでも検討されているバッドバンク構想は、金融機関を救うには過去の例からも非常に効果があると思われます。公的資金が動向というのはマーケットには関係なく、マーケットはとにかく金融が正常にも戻ってくれればよいのです。そこが、感情のある人間とは異なるところですが、良い金でも悪い金でも、マーケット健全化に使われればマーケットは好感します。バッドバンク構想が立ちゆかなければマーケットは下落し、将来展望が描けるようであればマーケットは上昇します。それだけ金融機関の復活がマーケットにとっては鍵になります。
金融を救えば、マーケットは健全化し、経済は立ち直るという構造です。