月曜日, 12月 15, 2008

気になるニュース「サイゼリア153億円の損失」

 ちょっと気に気になるニュースがありました。ファミリーレストラン大手のサイゼリヤが10日、、多額の評価損が見込まれていたBNPパリバ証券とのデリバティブ(金融派生商品)契約を解約したと発表、これにより153億円の損失が確定したとの報道です。
 外食を営む会社がなぜ為替デリバティブに手を出していたのでしょう。サイゼリアは、オーストラリアからハンバーグなどの加工食品や牛肉などをレストランで使用するために輸入していました。日本企業が海外から大量の原材料を輸入する際には、収益が最終的に確定するまでに為替変動によって損失してしまう可能性があります。そのため、この為替リスクを避けるために行うのがデリバティブ取引です。
 デリバティブ取引とは為替変動の動きをある程度推測した上で、将来における取引を先取りし、価格変動リスクを下げるものです。サイゼリアでの為替は「オーストラリアドル/円」です。最近のオーストラリアドルの大幅下落で何となく見えてくるでしょう。
 サイゼリアの契約では、為替相場が一定水準より円安で推移すればメリットになるが、逆に円高に進むと損失が膨らんでしまうというものだったようです。過去5年間、豪ドル/円は円安に推移していたので、当時は誰もがこの判断を選択したのかもしれません。しかし今年7月時点では100円近辺で推移していた「オーシトラリアドル/円」は、8月に入ると世界金融危機の影響などで急激に円高に変動し、現在では60円程度。なんと40%も円高に進んでしまい、最終的に153億円の損失を出してしまったということです。企業(BUPパリバ証券)の想定通りに為替レートが動かなかった場合には、デリバティブ取引はリスク回避どころか、巨額の評価損を計上する可能性もあるということです。
 オーストラリアドルを巡るこういった話は良く耳にします。なにせ、2000年のシドニーオリンピック以来、ずっとオーストラリアドルは上がり続け、国内金利も上昇し、FX取引をしている人のおいしいスワップ金利ねらいのターゲットでしたからね。
 ここにきてオーストラリアドルにつっこんで大損をした人の話をよく聞きます。確かに証券会社も盛んにBNPぱりば証券同様の勧誘をしていました。投資をしていない人に対しても、銀行がオーストラリアドルでの定期預金をたくさん勧誘していました。
 この話は、私たちの投資行動をよく表しているような気がして目にとまりました。デリバティブ取引が悪いと言うことではありません。
 プライム・ブローカレッジという業務があります。簡単に言えばヘッジファンドの管理による手数両取りですが、おもいデリバティブ取引などを行うヘッジファンドからお金をいただく物で、BNPパリバ証券はバンク・オブ・アメリカの株取引のプライム・ブローカレッジ業務をいただいたそうで、米国において、主要なプライム・ブローカーになったそうです。