木曜日, 1月 29, 2009

世界の金融機関の損失、196兆円に拡大 米ローン関連、IMF推計

 国際通貨基金(IMF)は28日、米国のローン関連で生じる世界の金融機関の損失が2兆2000億ドル(約196兆円)に膨らんでいるとの推計を発表しました。これは昨年10月の前回推計の1.5倍になるそうです。実体経済の悪化にともなう不良資産のさらなる増加が要因のようです。金融機関の資金繰り支援に加え、資本再注入、不良資産切り離しをセットにした金融安定化策を促しました。
 世界経済の急速な収縮で米国以外でも金融機関の損失は急拡大していま。IMFは、2009~2010年の損失拡大をふまえ、欧米の金融機関は、現在の資本基盤を維持するために少なくとも5000億ドルが必要と警告しています。資本注入だけでなく、バッドバンクを設け不良資産を買い取る手法も一案と言及しています。これは 最新の世界経済見通しから、2009年の世界全体の成長率がゼロ近くに鈍化するとの見方を示し、その上で、デフレリスクの高まりを警告し、不良資産を銀行システムから取り除く必要があると指摘したものです。IMFは、2009年の世界成長率見通しは戦後最低となる0.5%とし、11月時点での予想2.2%空の大幅修正です。IMFは昨年4月時点の損失を約9400億ドルと見積もっていましたが、証券化商品などの値下がりが止まらず10月には1.4兆ドルに増額修正。今回の再修正により損失推計は1年弱で2倍以上に膨らんだことになります。
 2009年の米成長率見通しはマイナス1.6%、ユーロ圏はマイナス2%、日本はマイナス2.6%としました。一方、新興国市場については、2009年は3.3%、2010年は5%の伸びを予想しましたが、前回予想からは下方修正したものです。世界経済は2010年には徐々に回復し、成長率は3.0%となる見込みだとしています。
 2010年の米成長率見通しはプラス1.6%、ユーロ圏はプラス0.2%、日本はプラス0.6%としました。先行きは極めて不透明だとし、回復の時期とペースは各国政府の政策手段にかかっているとも述べています。世界的な金融危機や多くの主要国で住宅市場が低迷していることを理由にデフレリスクは高まっているとした上で、デフレは回避される可能性が高いとの見通しを示しました。