ウェルズ・ファーゴが28日、2008年10~12月期決算を発表し、米金融大手6社の同年第4四半期決算が出そろい、2007年夏以降も黒字を維持してきたウェルズ社が純損失に転落し、6社のうち5社が赤字、唯一黒字のJPモルガン・チェースも大幅減益でした。
ウェルズ・ファーゴは、純損益が25億4700万ドル(約2270億円)の赤字となり、前年同期の13億6100万ドル(約1210億円)の黒字から大幅に悪化しました。同社は昨年末、同業大手ワコビアを買収して業容を拡大。これまで大手の中ではサブプライム関連の投資が少なく、損失額も比較的小さかったのですが、今回はワコビア買収も重荷となり、個人向け融資の貸し倒れ引当金の増加などが響きました。12月31日に買収が完了したワコビアを含まない同四半期の損失は25億5000万ドル(1株当たり0.79ドル)。前年同期は13億6000万ドル(同0.41ドル)の黒字でした。経営破たんの危機にあったワコビアの同四半期は111億7000万ドルの赤字決算となり、引当金の増加や投資絡みの評価損などが圧迫しました。収入は4%減の98億2000万ドル、四半期配当は1株当たり0.34ドルを維持しています。政府の不良資産救済プログラム(TARP)から新たな資本注入を求める計画はないとししていました。
銀行業務が中心で資産規模の大きいシティグループとバンク・オブ・アメリカ、JPモルガンの3大銀行の2008年10~12月期の損失は合計で前年同期に比べて約2割増えました。サブプライム関連などの評価損は減ったものの、貸し倒れ引当金の積み増しなどの不良債権処理額が2倍以上に増えたのが原因でした。 大手各社の損失は、貸し倒れ引当金など不良債権の増加にともなう処理が中心になり、実体経済の悪化を反映したものになってきました。サブプライム関連の証券化商品の評価損のような一時的なショックに基づくものよりも根が深く、景気後退が長引けば損失拡大が続く可能性が高いとのことです。
米金融大手ゴールドマン・サックスが今月発表した最新の試算では、世界の金融機関が抱える損失は計2兆ドル超(約180兆円)にまります。昨年3月時点の予想1兆2000億ドル(約110兆円)を大幅に修正し、金融機関の財務悪化が予想以上に進んでいることを裏付けました。景気の急回復は当面見込めず、損失増が続くのは避けられそうもないと報道されています。