今月20日には新しい大統領がアメリカで誕生します。これだけ「次期大統領」という言葉がマスコミに登場したことはあったでしょうか。もうとっくに現大統領の名前は遠く消え去っているようです。ブッシュの8年はいったい何だったのでしょうか。
それはともかく、オバマ次期大統領が今のアメリカを立て直す政策として「経済再建」「エネルギー自立政策」「健康保険改革」「中間層の減税を軸にした広範な税制改革」「教育改革」をあげています。なかでも急務は、アメリカ経済・金融危機の克服、それと同時に富の再配分を含めた景気対策の断行です。経済対策での基本となるのは「低所得者層やマイノリティーなど弱者への配慮に基づく格差是正」「CO2など温室効果ガス削減に向けての環境への取り組み」になります。
景気刺激策としては、8,000億ドルを要して、中・低所得者への1世帯あたり1,000ドル(約9万円)の所得税減税、国内雇用を増やした企業に一人あたり3,000ドルの優遇税制を導入などがあげられています。
なかでも「環境」が政策キーワードとなっています。石油エネルギー依存からクリーンエネルギーへの転換、これに今後10年間で1,500億ドルを投資し、500万人の雇用を創出する計画が打ち出されています。これが「グリーン・ニューディール政策」と呼ばれるものです。
「グリーン・ニューディール」とは、国連の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長が訴えていた標語です。「ニューディール政策」とは、フランクリン・ルーズベルト大統領が、あの世界恐慌からの脱出のために実施した景気対策で、公共事業を創出して雇用を生み出し、内需拡大を図るという物で、テネシー河流域の開発が有名です。これになぞらえて、エコ・環境関連の事業創出、クリーンエネルギーを中心として世界経済を再建似向けて「グリーン・ニューディール」と呼んでいます。
具体的には、石油代替エネルギーには、現在進めている原子力をはじめ、太陽光、風力、水力などの自然を利用したもnなどで、2015年までに1ガロン(約3.785リットル)あたり150マイル(約240km)走行でき、家庭電源で充電可能なプラグイン・ハイブリッド車の100万台普及を目指し、購入者に7,000ドルの減税を実施するというものです。
昨年から「エコカー」は話題となり、それに大きく出遅れたビッグスリーの結末は報道の通りです。日本は先駆けていて、トヨタやホンダなどのハイブリッドカーはご周知の通りです。プラグイン・ハイブリッド車の開発関連で、電池メーカーなどの株価が上がっています。今後、このグリーン・ニューディール関連銘柄なんかが注目されてくるのでしょう。電池関連のメーカーやインフラ整備、また、医療に関しての注目も高まり、そういったセクターは注目です。
日本も「日本版グリーン・ニューディール政策」を打ち出しています。今後5年程度で、環境関連ビジネスの市場規模を2006年比約4割増の100兆円に拡大、220万人以上の効用確保をねらうそうです。
日本以外でも韓国など、このエコ、環境といった旗野本に、いろんな独自の政策が繰り広げられてくるでしょう。