日曜日, 11月 30, 2008

シティ救済が大きなきっかけに

 11月23日、米財務省と連邦準備制度理事会(FRB)はシティグループに対して、シティ保有の住宅・不動産関連の不良資産3,060億ドル(約29兆1,500億円)について大半を政府が保証し、さらに200億ドル(約1兆9,000億円)を追加で資本注入する巨額の救済策を発表しました。その前の週に、250億ドルの資本注入を受けたばかりで、注入額は450億ドルになります。救済策では、住宅ローンや不動産担保証券など3,0600億ドルを不良資産と算定。損失が出た場合、最初の290億ドルはシティが自力で処理、それ以上は政府が9割を負担して処理します。
 政府の損失負担の一部と、追加資本注入分は、緊急経済安定化法の予算枠7,000億ドルから支出。今回の決定で予算枠からの支出は3,000億ドルを超えることになります。支援と引き換えに、シティは優先株70億ドル分を政府に発行し、年8%の配当を支払います。また、住宅差し押さえ抑制のため、ローン融資条件緩和を要求され、役員報酬や株式の配当も制限されます。救済策とりまとめには、次期財務長官に起用されるガイトナー・ニューヨーク連銀総裁も加わったようです。
 シティは株価が3ドル台まで急落していました。アメリカ政府やFRBの、まさにウルトラCとも言えるこうとです。おそらく次はバンク・オブ・アメリカ、次いでJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴと救済は続くと思われます。
 もう何でもありの状況で、FRBは企業が保有しているCPの買い取りも始めました。ニューヨークダウ創設以来からラインナップされている唯一の企業GEも、今はその業績の半分が金融ということもあり、今回の荒波にもまれ、CPを買い取って貰うようです。自動車業界救済が急務のようです。
 おそらくこれで世界金融恐慌の出口が見えてくるのでしょう。政府が金融機関やビッグ企業を全面的に救うことで、流れが変わるかもしれません。
 クリスマス商戦は、小売業の年間売上の3割をしめる重要な時期です。この時期に、シティ救済策を打ち出したのは、クリスマス商戦を見据えてのことでしょう。これがきっかけに潮の流れが変わることを期待します。

土曜日, 11月 29, 2008

(岐阜県の事情から)地方銀行が危ない、ひいては中小企業が。。。

 岐阜県での銀行再編の記事があります。岐阜県に本店を置く十六銀行は、経営再建中の第二地銀、岐阜銀行を資本支援する方針を固めなした。岐阜銀行は世界的な金融危機や景気の後退局面入りを受けて、十六銀の支援を仰ぐことにしたようです。
 この間、株式を上場する地方銀行の9月中間決算が発表になり、株式を上場する地方銀行87行・グループは、連結純利益の合計が約1,200億円にとどまり、前年同期から71.6%減で、約1/3にあたる27行が最終赤字となったと報じられています。地方銀行の他緑芽大きく低下しているのです。これもひとえに、サブプライムローン関連商品やリーマンブラザーズの破綻の影響を受けています。地方銀行は、この両方の債券を、結構保有していたようです。その評価減、リーマンにいたってはゼロですから、経営に大きな影響を与えているのでしょう。景気後退による企業倒産続出、不動産・建設業向けを中心に不良債権処理損失が増加しました。金融市場の混乱を受けて株式など保有有価証券にからむ損失も膨らみ、地方銀行にとっては踏んだり蹴ったりでしょう。
 本業の儲けを示す実質業務純益は約6,600億円と前年同期比24.5%減少し、上場地銀全体で500億円以上保有していた米リーマン・ブラザーズ債や投資信託の減損損失が大きく響いたとのことです。地銀が新たな収益源と位置づけるリテール業務(個人向けの事業)も不振で、株式市場の低迷を背景に金融商品の販売が低迷したため、手数料収入などによる役務取引等利益も約2割減と落ち込んだようです。
 政府としては何が何でも大手都市銀行は救うでしょうが、地方銀行では再編による生き残りがしいられるのでしょう。かつては、北陸と北海道の銀行が手を結ぶなどもありましたが、各地で地方銀行、特に第二地銀(旧相互銀行)が厳しい局面を迎えているようです。
 地方銀行の得意先は地元の中小企業ですから、ますます地域間格差は広がることが懸念されます。政府(麻生総理)の追加経済対策で、中小企業への貸し出しに関する協会保証枠拡充を唱っていますが、もっと大きな支援がなければ、本当に中小企業は立ち直れない気がします。これはバブル崩壊後の貸し渋りより厳しい物になる気がします。なにせ、貸し金業法改正で、ノンバンクなどからの借り入れも厳しい状況ですから、中小企業にとって銀行や女将から見放されたらどうしようもないですからね。
 大社長の麻生総理にこの声は届くでしょうか。

金曜日, 11月 28, 2008

EU景気対策25兆円

 欧州連合(EU)の欧州委員会は、総額2,000億ユーロ(約25兆円)規模の経済対策を加盟国に提案、今後2年間で企業支援や税制優遇などの景気刺激策を各国に求めたほか、付加価値税(日本の消費税に相当)引き下げによる消費促進も盛り込みました。金融危機に伴う深刻な景気後退をにらみ、財政規律を重視する政策を転換。日米と協調して景気を下支えします。経済対策の規模は域内総生産(GDP)の1.5%分に相当、財政政策は加盟国がなお主権を握っており、欧州委は経済対策で各国に約1,700億ユーロの財政出動を求めました。景気刺激策は向こう2年間で集中的に実行し、この間はEUが特例的に各国の財政赤字の拡大を容認して財政支出の余地を広げます。これと並んで欧州委はEU予算などから約300億ユーロを拠出し、横断的に失業補償や職業訓練、研究開発投資を進める計画です。
 アメリカのサブプライムローン問題はいち早くヨーロッパに波及。本家でハレーションを起こす前にヨーロッパ火の手が上がったのも皮肉なものです。EU発足以来初めての経済危機です。ここをどう乗り切るかが、今後のEUの方向性にとっては非常に重要な局面です。果たして一致団結して、難局を乗り切れるかどうかが試されています。

アメリカの潜在リスク760兆円ってどういうこと!

 金融危機に対応するた連発した救済策や安定化策により、米政府と米連邦準備理事会(FRB)が投融資や保証を通じて潜在的に抱えるリスクは最大で8兆ドル(約760兆円)を超す見通しになりました。日本で言う日本銀行がFRBですが、その中央銀行が一番リスクをとっているのがある意味アメリカのすごいところです。
 本来、中央銀行は銀行救済がその役割ですが、ベアー・スターンズ救済により投資銀行(証券会社)に対象枠を広げ、AIG救済で保険会社、さらにクレジットやオートローンのノンバンク、挙げ句の果てには、GMなどの一般企業にも手を差しのばすことになりました。
 FRBのこの8兆ドルの潜在リスクは、米国の国内総生産(GDP)の60%にも達しているのは、もし、このリスクが焦げ付くようなことがあれば、想像しただけでも恐ろしいことです。これは間違いなく、ドル安懸念のなにものでもありません。ちなみに、この8兆円は日本のGDPの1.5倍になります。
 FRBはアメリカ国内のすべての預金を保証してくれ、金融機関のCP(債券)を買い取ってくれて、住宅ローンの借り換えを助けてくれて、シティグループ、ファニーメイ、フレディマック、AIGにお金を投じることをしています。そりゃこれぐらいの金額にはなるでしょう。その財源は赤字国債の発行です。これも将来のドル安要因です。
 さて、オバマ政権は、このブッシュ大統領の大盤振る舞いをどう処理するのでしょうか。