火曜日, 4月 24, 2012

どうなっても私たちの生活は厳しい?

日本の財政が危機的な状態なので増税するという論理は、実に短絡的で、まさに財務省が描いたシナリオでもあるのでしょうが、ただ、財政の立て直しが必要なことは間違いありません。その改善方法が増税しかないのかどうかは議論の余地はあると思います。

 でも、現政権は、なにがなんでも増税へと向かっています。増税の反対側には支出の削減ですから、それは社会保障の見直しになります。社会保障制度では、年金制度と医療制度がありますが、危機的状態が続いて、早急に改善を迫られるのは医療制度でしょう。特に、海外の製薬会社などが日本市場の医療分野進出を値らています。今以上に進出を加速したいのでしょう。日本の医療業気は、薬剤を含め規制が多く、海外企業の進出を大きく阻んでいます。

 ロサンゼルスの友人が、日本は医療に甘えていると言っていました。「日本人はやたら病院に行きたがる。ちょっとしたことではアメリカ人は病院には行かないし、ましてや入院なんて医療費がかさんでとんでもない。」だそうです。皆保険制度のないアメリカ国民ならではの発言です。アメリカ人にとっては、社会的入院やホスピタルショッピングなんてことはあり得ないのでしょう。

 海外の企業からの圧力、日本の医療給付費が持たない現状から、早急に手をつけられるのは医療制度であることは間違いないようです。

 増税と社会保障に縮小は、私たちの生活にはもろ負担になります。しかし、世の中は、完全にその方向に向かっていますね。

 さて、財政再建に関して増税以外の方法と言えば、市場の活性化、つまり、景気を良くして法人税収を増やすことです。企業に頑張ってもらうような環境づくりを行うのです。それは、輸出企業への援護射撃である円安誘導です。円安になれば株価も上がり、金融機関などの企業の含み資産も大きくなります。円安誘導の具体策が量的緩和です。

 ところが、円安は物価高を招きます。円高は輸入品が安くなります。材料を海外から調達する日本にとっては、円高は物の値段を下げてくれますが、円安は、確かに、海外への輸出は儲かりますが、材料輸入、特に原油の輸入ではコスト高となります。またしても庶民の生活直撃です。

 つまり、どちらの財政再建策をとったところで、私たちの生活が圧迫されることは同じということです。企業が活性化することは、いつか私たちの給料の改善にもなる可能性はありますが、増税路線では、給料改善の可能性は厳しいでしょう。年金受給者にとってはデフレが一番で、経済が活性化されるインフレはご法度です。どちらの言い分をとるのでしょうか。

 給料が上がって、物価が上がらないで、社会保障が充実している...そんなシナリオは描けないのでしょうかね。