木曜日, 9月 23, 2010

ドル高、ドル安の意味は

 今、マーケットは為替一色で、企業業績も、金融政策も関係なく、株価は為替に翻弄されている状況です。欧米は、政治判断で通貨安政策を行い、中国が自国の都合でしか動かない状況下での、米中の接近はかなり不気味です。日本は、アメリカや中国の影響、両方の波に翻弄される形になりそうで非常に危険です。
 為替に関して、ここで簡単に整理しておきましょう。
 世界の基軸通貨は米ドルで、全世界で80%近くも流通しています。それゆえ、世界での商売に関して、アメリカだけは為替という概念は存在しません。それは商品市場でも、例えば金取引や原油取引などがそうです。ヨーロッパとの貿易や中国との貿易に関しては当然為替は存在します。アメリカの貿易赤字の約半分は対中国貿易です。それゆえ、人民元の切り上げを望むのです。それがオバマ大統領の5年で貿易を2倍に拡大させる肝になるのでしょう。
 投資家にとってドルは基軸通貨ゆえに安全資産となるのでしょう。もっとも金も安全資産です。マーケットが異常な状況の場合、つまり、企業業績が良くても株価が上がらず、金融相場になっているとき、今のように金融不安により、投資行動自体が冷え切っている状況が異常な状況で、正常な状態は、中央銀行の金利操作により景気調整が可能な状況、企業業績が株価に反映する状況です。異常な相場状況の時は、そもそも株式市場にはお金が全然回らないので、投資はほとんど債券市場に移行します。世界で最も最後にデフォルトするのはアメリカ国債ですから、資金はアメリカ国債に流れます。これはイコール、ドル買い、つまり世界的なドル高になります。異常な状況下では商売も成り立たず、金融の立て直しにはお金が必要で、その資金調達が債券ですから、アメリカが資金ニーズがなくならない限り、アメリカ国債を買ってもらうことになります。異常状態化のドル高は、株式市場にとってはあまり良い状況ではありません。
 ドル安に転換するということは、国債市場から別の市場にお金が流れます。ドル安ということは、為替は相対取引ですから、片方の通貨は高くなります。ユーロです。いま、ドル安・ユーロ高の状況です。ドル安は別の表現ではリスク選好度が高くなったと表現します。つまり、投資家がリスクを取りに行った時うことになります。
 マーケットが正常な状態の時はドル高が好ましい状況です。債券発行以外にドルを集めるにはドル投資に魅力がなければなりません。それは金利上昇であり、アメリカマーケットが盛況である必要があります。ドルに人気がある、それはドル高です。
 今足元では世界的にドル安傾向にあります。この状況が今後どう続くかが注目ですが、日本は円でしか見ていないので、円高円安ばかり気になりますが、やはり重要なのはドルです。