月曜日, 12月 22, 2008

巨大保険会社、国際監督に穴

 朝日新聞にこのようなタイトルの記事が載っていました。世界規模で営業している保険会社は、国ごとでの共通の監督基準がないことを指摘しています。つまり、国ごとにルールが違うので、そこに大きな穴、それを利用して何でもできるといった内容です。保険会社の代表的な監督指標に「ソルベンシー・マージン(保険金支払い余力比率)」がありますが、これも算出方法は各国バラバラです。
 特に、デフレ崩壊後の株価回復期から、保険会社の販売の中心であり、銀行や証券会社の販売の中心の「変額個人年金保険」に関して問題定義をしています。「変額個人年金保険」は、保険料を「特別勘定」というファンドで運用する商品で、商品によっては元本保証を約束しているものもあります。運用が悪化すればその穴埋めは会社が行うことになっています。「責任準備金」を増額することで、引き当てます。
 この引き当てに関して例外規定があるそうです。「再保険」という形で、別の保険会社にリスクを移すことで、穴埋めのための積み増しは免除されるというものです。外資系の大半がこの規定を活用しています。朝日新聞の記事には、免除額が載っていて、アイエヌジー生命(蘭)2,587億円、ハートフォード生命(米)2,074億円、マニュライフ生命(加)2,034億円(いずれも2008年9月末)となっています。
 なかでもハートフォード生命は、この再保険の引受先が、自社のグループ傘下の米国再保険会社が引き受けていることを問題と提議しています。ハートフォード側はリスクの一部は再々保険や金融工学を使ってグループ外に分散していると説明しているようですが、米国は日本より責任準備金が少なくてすみ、再保険は単なる引き当ての節約が目的と指摘しています。つまり、リスク分散の手段である再保険が、使い方によってはリスク隠しになるのではと疑問を投げかけています。
 各国のルールが違うということは、規制の緩い国に傘下の再保険会社を設立し、規制の厳しい国の保険契約のリスクを緩い国側へ移すことも可能です。英領ケイマン諸島などに再保険会社を持つグループもあります。
 巨大保険会社が破綻すれば、世界中の契約者が不利益を被ることになり、リスク料や自己資本量を可視化する国際基準が不可欠と指摘しています。

 HPのトップコラムにも書いたことがありますが、日本人は自分で自分を真zもることより、人に依存する傾向があるようです。それは運用という風土が育っていないと言うこともありますが、国や社会に関しての絶対的な信用があるようです。もちろん、信用される側もきっちりと対応してくれていると思いますが、昨今はその信用も揺らいできています。その他人任せの最たるものが保険加入率の高さです。何かあれば保険に頼るという風潮です。「保険」という名前になにか安心感があるのでしょうか。本来の保険の機である死亡保障でリスクヘッジすることは、過度でなければよいと思いますが、年金などの自分の陣sで胃を100%ゆだねるのはどうかと思います。本文の内容と少しずれますが、保険はポートフォリオの一部にしましょうね。