火曜日, 4月 19, 2011

アメリカ国債が格下げ

 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、米国の長期格付け「AAA」について、アウトルック(見通し)を格付けが下方に向かう可能性が上方向よりも高いことを示す「ネガティブ」としました。増大する財政赤字および債務への対応をめぐり、指導者らが合意に達しない「重大なリスク」があると説明している。
 格付けに関しては、一般的には「AAA」とか「AA」など、アルファベットで表記する部分のみが思い浮かぶでしょうが、同じ「AA」や「A」あるいは「BBB」でも、それぞれ3段階の区分けがあります。つまり同じ「A」核でも上中下の三段階があるのです。
 「上」は「ポジティブ」で、「A」が「AA」になる可能性が高いという意味です。「中」は「ステイブル」つまり現状維持です。「下」が「ネガティブ」で、「A」がその下の「BBB」になる可能性が高くなるという意味です。同じ「A」でも、その中で、格上げ格下げということが起こります。この上・中・下の三つを「おう吐ルック(将来の見通し)」と言います。今回のアメリカ国債に関しては、「AAA」の最上格の格付けなのですが、その中で「AA」になる可能性が高くなったと「ネガティブ」という「下」に格下げになったということです。

 S&Pは18日のリポートで、「中・長期的な財政への試練にどう対応するかについて、米国の政策当局が2013年までに合意に達しないかもしれないという重大なリスクがあると当社は考えている」と説明。「もしその時までに合意に達せず、有益な措置が開始されない場合は、当社の見方では、米国の財政状況は他の『AAA』格付け国と比較し大きく悪化することになる」と続けています。
 S&Pの発表を受け、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では米国債と米銀行債を保証するコストが大幅に上昇。また株式相場は下落しました。S&Pは長期格付けについて、今後2年以内に1/3の確率で格下げの可能性があるとしています。
 クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は、債券などが支払い不能になった時に保障する保険のようなもので、巷では倒産保険なんて呼ばれています。この商品の値段が上がるということは、CDFが保障している債券の信用度が下がったということになります。ギリシャ債券のCDSも、財政問題浮上の時に上がりました。

 ここからは、ブルーンバーグ電子版の記事の抜粋ですが
 「今回の見通し下方修正は、議員らに対し、財政赤字の縮小や連邦債務の削減で合意に至らなければ「AAA」格付けが脅かされると通告した格好だ。S&Pは、米国の債務が13年までに対国内総生産(GDP)比で84%に増加すると見込んでいる。CRTキャピタル・グループの米国債戦略責任者、デービッド・エーダー氏は「これはまさにワシントンへの警告メッセージだ。イデオロギーを脇に置いて達成に注力すべき時に、議員らは真剣に取り組まず、党利党略に走っている」と指摘。「債券市場は依然、このアウトルック修正がどういう意味を持つのか見極めようとしている。まだどうしたら良いのか分からない状況だ。米国債を売るのであれば、代わりにどこに投資するのか。誰にも分からない」と続けた。財務省は、S&Pによる今回の見通し下方修正について、米国の指導力を「過小評価している」とのコメントを発表した。

 日本も全く同じですね。GDPの200%もある債務に対しての対策をすることよりも、党利党略に走っているのは、日米同じです。アメリカという国は、とんでもないことをしでかすことがありますが、自浄能力は、日本よりもはるかに上です。S&Pと言えば、「ザ・アメリカ」のような会社ですが、自国の債券に関しても、このような警告的な行為を行うのですね。
 ということは、他国に対しても警告的な格下げを行うということで、一民間企業の格付けににより、一国の債券の暴落を招くこともあるという、いったいどういうことなのでしょうかね。もし、格付け会社の格下げが、事前にわかっていたら、投資家は、大きく儲けることができます。債券暴落の前に空売りをしていればいいのですから。いやはや恐ろしいですね。これは本当にうがった見方ですが、マーケットって、本当に平等なのでしょうか。