金曜日, 1月 16, 2009

米下院、民主党による73兆円規模の景気対策法案

 米議会民主党は15日、大型減税と大規模な公共事業を柱とする総額8250億ドル(約73兆5000億円)の景気対策法案を発表しました。今後2年間で個人や企業向けに2750億ドルの減税を実施し、5500億ドルで公共事業や競争力強化のための集中投資を行い、300万~400万人の雇用創出効果を見込んでいます。オバマ次期米大統領が打ち出した「経済再生計画」に沿った内容で、来週から審議に入り、2月中旬までの成立を目指します。
  オバマ次期政権の景気対策は、中低所得者層への減税と大型インフラ整備が目玉です。減税では、世帯当たり1000ドルの所得税還付のほか、新規雇用をした企業への1人当たり3000ドルの税額控除、設備投資減税も盛り込む方針です。
 一方、大型公共事業では、道路などのインフラ整備のほか、中期的な成長力維持に向けた新エネルギー開発、教育設備の近代化、医療の情報技術(IT)化などに集中投資します。失業保険給付など社会的弱者への手当て拡大や地方政府への助成も実施します。環境分野に予算を重点配分する「グリーン・ニューディール」として、燃費効率の高い自動車開発などに320億ドル、公共施設の省エネ改修などに310億ドルを投資します。風力など石油代替エネルギーの普及・促進に向けて、200億ドル以上の減税も実施する計画です。このほか、地方のブロードバンド(高速大容量通信)普及に60億ドル、高速道路の整備に300億ドルを投入します。
 オバマ次期大統領は声明で、「米国の競争力強化につながる投資だ」と述べ、法案概要を評価した。ただ、法案の雇用創出効果などを巡り、共和党議員を中心に不満の声も出ており、修正などを求めて審議が難航することも予想される。
◆米景気対策の骨子◆
 ▽事業規模は2年間で8250億ドル。内訳は公共事業などに5500億ドル、減税に2750億ドル
 ▽環境に優しい自動車の開発などに320億ドル
 ▽公共施設の省エネ改修などに310億ドル、校舎の近代化に210億ドル
 ▽95%の勤労者に減税を実施
 ▽無駄な投資を防ぐため監視機関を設立       読売新聞記事より