水曜日, 5月 18, 2011

円安に動きましたが・・・

 昨日は実に一日中円安に動きていました。ドル/円のチャートを見ると、きれいに右肩上がりの状況でした。日銀の白川総裁の「日本経済は大変厳しい」との発言から、円は全面安に転じました。それまでは、リスク回避の安全通貨買いで、円が買われていました。
 ニューヨークでの住宅着工数等の、発表された経済指標が悪かったことや、東芝や武田薬品工業の海外企業との大型M&Aで、円資金調達の必要性が高まるとの見方から、円安に動いたとも報道されています。

 Bloombergの記事では、白川総裁の発言は、円を売る絶好の口実と表現されています。投資家は、円を売りたくて仕方なかったのでしょうか。
 そもそも、福島原発の事故の長期化や、東電の発表の遅れなど、円が買われる要素は一つもなく、財政赤字がどれだけ膨らむかわからない国の通貨を買うという行動は、一般的にはありえません。日経平均株価は、震災後の外国人買いにより、何とか9000円台まで戻し、10000円間近まではきましたが、そこから先はずっと足踏みで、むしろやや下落という感じもあります。

 日本円はドルやユーロと方を並べる通貨で、この三つで、どこが一番危険かの危険競争をしているだけのような気がします。比較の結果、日本が一番安全と買われているだけで、奇妙なバランスで株安・円高という現象になっています。日本の要素で円が買われているわけではないのが不気味です。白川総裁の「円は買われすぎ」と思わず言いたくなるのもうなずけます。

 比較論で円が買われているのですから、ドルやユーロが強くなると、当然円安になります。もともと日本に買い材料がないのですから、その時の円安は一気に進むような感じがしますが、どうなるでしょうかね。