土曜日, 8月 18, 2007

今回のサブプライムローン問題について

 日経平均株価終値が、1日でなんと874円も下がりました。3日連続の今年の最安値更新で、3日間で合計1,570円も下落しました。もっとも下落幅が大きかったのは、2000年4月17日で、この日は1日で1,426円も下げました。このときは米ITバブルの崩壊が原因でした。日経225miniなどの先物で「買い」投資をしている人は泣いているでしょうね。為替も一時は1$=111円台と、コチラもFX(外国為替証拠金取引)でドル買いをしている人は気がきではないでしょうね。
 米サブプライムローンへの信用問題と報じられていますが、そもそもずっと前から、米の住宅バブルは異常だと言われていました。米は借金漬けの個人消費が支えていたと言われていました。低所得者層向け住宅ローン、はっきり言って、借金がいっぱいあって普通では借りられない人への住宅ローンがサブプライムローンです。当然、返せなくなるのは見えていますよね。案の定、返済が滞った人たちが増えてきたのですね。
 今回の主人公は「ファンド」と呼ばれる大きなお金の集団です。「投資ファンド」や「ヘッジファンド」です。特に投資ファンドは企業を買収して利益を得ますから、買収資金の調達が必要です。サブプライムローンを組み込んだ証券商品で利益を得て企業買収資金としていました。ヨーロッパの銀行も、同様にサブプライムローンがらみの商品で利ざやを稼いでいましたが、これだけ返済滞納者が増えてくると信用が無くなり、商品の格付けは下がり、サブプライムローン関係の商品で投資しているファンド自体の信用がなくなり、ファンドが発行する資金調達のための債券も誰も買ってくれなくなりました。当然、銀行からの資金調達は厳しいでしょう。
 ヨーロッパの銀行はいきなり不良債権を抱えるようなこととなり、その為の引当金として1兆円超のお金を準備しなければならなくなりました。一般投資家はこの異常な行動を不安視していました。今年の2月頃です。「ファンド」という、世界マーケットを凌駕する大きなお金の集団は、資金調達に苦慮して、持っている資産を売ります。多くが日本株であり、欧州株でした。
 米のサブプライムローンがらみの金融商品の格付けが下がると、当然ドル売りが起こります。欧州株の下落もユーロ売りの原因となります。ところが、今までのこの両方の通貨の上昇で、ある通貨は安い状況をずっと維持してきていました。それが日本円です。いままで円を売って外国通貨を買っていた大きなお金の集団が、逆に外国通貨を売り出しました。瞬く間の円高の始まりです。
 ここでも「ファンド」が登場してlきます。もともと資本主義経済は「10の自己資本と90の他人資本」から成り立っています。つまり、他からお金を回してきて、市場で儲けるという仕組みです。自分のお金を使うのではなく、借金をして投資をするようなイメージです。世界で一番金利が低い日本という両替屋さんでお金を借りて、米や豪といった大盤振る舞いの商人のところでお金を増やすという「円キャリートレード」を、「ファンド」と呼ばれる大きなお金の集団はせっせと行ってきました。そこに今回の米サブプライムローン関連商品の信用不安が勃発です。安く仕入れて高く売り抜く構造が崩れてきたのです。「ファンド」は日本人と違って円で物を買いませんからね。円が使えるのは日本だけですから。世界三大通貨に入っている日本円がです。為替で損を被ったものは、株を売って穴埋めします。ここでも「株売り」ですね。大きなお金が動くときはマーケットは動く。大きなお金が大量に株を売れば株価は下がるのは当然です。投資ファンドは企業買収のために、ヘッジファンドは投資家からの資金引き上げに答えるための換金のために株を売ります。一般投資家は訳もわからなくこの現象をぼっと見ているだけで、慌てて売り雰囲気に飲まれていきます。
 大体の大まかな今回の世界同時株安の流れです。細かいところに正確さは欠けるかもしれませんが、大筋の流れはこんなものだろうと思います。日本の金融機関もサブプライムローン関連商品への投資を行っていますが、大した額ではありません。
 米は来年大統領選挙です。ここでNY株価を下げるわけにはいきません。政治的救済を出してきます。ローン借り手側に何らかの措置は執られるでしょう。また、日米欧の中央銀行が大きな資金を市場に放出しています。これで、自体の沈静化を図ろうとしています。資本主義経済は「10の自己資本と90の他人資本」から成り立っていますから、市場にお金を流し込むことで死因の循環をはかるわけです。今までの金余り現象が逆転した格好です。米は公定歩合、つまり中央銀行が民間銀行にお金を貸す金利を下げました。
 そもそも、日本が何かをしたわけではありません。今回の騒動では、日本は犠牲者かもしれません。大きなお金の集団が勝手に日本の両替屋からお金を借りて別の国で儲けていただけのことです。もっともそれにより日本の株価は上昇したのですから「外国人さまさま」なのかもしれませんが、日本の足下の物造り企業はいたって健全です。円高に振れて世界に物を売り込んでいる企業は厳しいかもしれませんが、足下の日本企業は全体的に頑張っています。ここは日本初の世界株式市場の復活といきたいですね。がんばれ!ニッポン!