木曜日, 7月 12, 2007

記事の解説「突然の円高・円安再び」  商品先物取引で無料電話相談

 日経新聞に「突然の円高・株安再び」という記事が大きく載っています。「米サブプライム問題波及」のサブタイトルがあります。サブプライムローンとは、一言で言えば普通の銀行で住宅トーンが断られ、カードローンなどが沢山ある人向けのローンで、通常の住宅ローンよりも金利が高くなっています。実際、日本にも受け皿のような住宅ローンがあり、私も取扱ったことがあります。アメリカの景気を支えているのが「個人消費」、その中心が個人の住宅購入です。一人のサラリーマンが7軒の家を所有しているという状態です。つまり、「家は転売すれば儲かる」という状況でした。ローン審査が通らないことで住宅景気を失速させるわけにはいかないですよね。
 当然、格付け会社はこの手の債券やサブプライムローン絡みのファンドの格付けを引き下げます。安全資産である米国債に資金が移動、長期金利が下がり、金利低下でドルが売られ、結果、円が高くなる。そうなると、日本の株式市場には悪影響で株価が下がるという感じです。
 さらに、サブプライムローンに絡む運用を行っていたヘッジファンドが運用に失敗。ロシア危機でのヘッジファンドLTCMの破綻によるニューヨーク暴落を彷彿させるものです。ヘッジファンドが業績不振となると、利益確保で今までのポジションを手仕舞います。つまり、大量保有の日本株を利益確定のために売るとも考えられます。「世界の投資銀行の株主資本は潤沢なので心配ない」という記事が載っていますが、文面通りに受けとって良いのでしょうか。今回のヘッジファンドの運用失敗の額は、LTCMの時よりも大きいと言われています。読み飛ばしてはならない記事ですね。

商品先物取引で無料電話相談
 農林水産省は、商品先物取引を巡るトラブルについて、日本商品先物取引協会が無料の電話相談を実施すると発表しました。午前10時から午後4時まで、弁護士など13人が対応します。勧誘を一度拒否したにもかかわらず再び勧誘されたり、希望した注文に商品先物取引会社が応じなかったりする問題に対応するそうです。ところで、なぜ、農林水産省が商品先物取引に関与するのか。金融監督庁ではないのか...実は、日本の商品先物市場は、農林水産省と経済産業省の2つの省庁の管轄となっています。商品先物取引委員会(Commodity Futures Trading Commission)という専門組織がある米等の諸外国とは大きく異なるところです。